Results - Japan ACM SIGCHI Chapter Award 2024

2024年 (第4回)Japan ACM SIGCHI Chapter Award受賞者

2024年12月27日

Japan ACM SIGCHI Chapter では,人と情報技術の関わりに関する学問・技術分野の発展を図る目的で,2020年度に次の賞を創設しました.

  • 功績賞(Lifetime Community Contribution Award)
    本会が関与する科学技術および産業の分野において特別の功労があり,人と情報技術の関わりに関する学問技術の発展に資する多大な貢献を行った個人.原則1名.
  • 優秀若手研究者賞(Distinguished Young Researcher Award)
    この分野の将来を担う若手研究者(応募の時点で40歳未満)を対象とし,優れた研究業績を有するのみならず本分野の発展のために貢献し,分野を先導して頂ける個人.原則1名.

この度,ご推薦をいただいた候補者から,厳正な審査に基づき,2024年(第4回)の受賞者として次の方々を受賞者と決定いたしました.

功績賞

氏名: 北村 喜文 氏 (東北大学 電気通信研究所 教授・副所長 / サイバー&リアルICT学際融合研究センター センター長)

授賞理由:
北村喜文氏は,バーチャルリアリティや3次元ユーザインタフェース等の分野を中心に研究を進めて来られました.また学術集会運営の活動にも積極的に携わり,研究者コミュニティの拡大・発展にも携わって来られました.例えば,氏が2006年に立ち上げられたIEEE Symposium on 3D User Interfacesは,2018年にIEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfacesとして発展的に統合されるまで,毎年約200名の参加者を集めて当該分野の発展の礎を築きました.同分野の国際会議ACM Symposium on Virtual Reality Software and Technology でもSteering Committee Chair を勤め,分野の発展に貢献して来られています.2015年にConference Chair を勤めたACM SIGGRAPH Asia(コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の大規模重要国際会議)でも7千名を越える参加者を集めて成功を収め,その後3年毎の日本定期開催に道筋を付けられました.さらに,人と情報技術の相互作用に関する大規模重要国際会議ACM CHI Conference on Human Factors in Computing Systemsの初の日本開催に向けた誘致活動を率い,2021年にオンライン開催された同会議のGeneral Chairを勤められました.ここでのCHI史上最大となる5千名超の参加者を集めて成功を収めた結果は,本当の日本初開催として2025年に横浜で開催されるCHIに繋がっています.この他にも,ACM SIGCHI Asian Development Committee のChairや,Japan ACM SIGCHI ChapterのChair,国連UNESCO下の情報処理国際連合IFIP TC-13 (Human-Computer Interaction)日本代表等も務めておられます.

このように北村氏は,自身の研究とコミュニティ活動で分野の発展に大きく寄与するとともに,世界と日本の研究者コミュニティを繋ぐ活動を進め,国際的な研究者コミュニティの中での日本のプレゼンス向上にも努めて来られました.人と情報技術の関わりに関する学術分野の発展に資する北村氏の貢献は多大であり,功績賞にふさわしいと認められました.

優秀若手研究者賞

氏名:小山 裕己 氏 (国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (AIST) 主任研究員 / 株式会社グラフィニカ技術顧問)

授賞理由:

小山氏は、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)とコンピュータグラフィクス(CG)が交差する研究領域で、数理最適化を活用した「コンピューテーショナルデザイン」の研究に取り組んでいます。その学術成果は、CHI、UIST、SIGGRAPH(Asia)などのトップ国際会議で発表されており、筆頭著者として発表した7本を含む11本の論文は、彼の研究の独創性を示しており特筆に値します。特に「Human-in-the-Loopベイズ最適化」を活用した最新の研究は、SIGGRAPH 2017、SIGGRAPH 2020、UIST 2022にて注目を集め、IPSJ/ACM若手賞を含む25件受賞しています。

小山氏の研究は、CHI 2021で新設された「Computational Interaction」サブ委員会の創設と発展に多大な貢献をしており、この分野でパイオニアとしての地位を築いています。2冊の英文学術書(2018、2022)の執筆に参加し、当該サブ委員会では日本人として初のAssociate Chairを複数年度に渡り務めています。さらにCHI 2021ではコース講師としての役割を果たし、研究コミュニティの発展に尽力しています。

さらに、彼は国際会議運営にも貢献もしており、CHI 2021ではTechnical Program Chairsの助手を務めました。また、映像制作会社の技術顧問として、実応用に直結する課題の解決にも取り組んでいます。このように、小山氏の貢献は学術的にも実務的にも広範であり、今後も分野を超えた貢献を続けていくことが期待されます。