2023年2月18日
Japan ACM SIGCHI Chapter では,人と情報技術の関わりに関する学問・技術分野の発展を図る目的で,2020年度に次の賞を創設しました.
この度,ご推薦をいただいた候補者から,厳正な審査に基づき,2023年(第3回)の受賞者として次の方々を受賞者と決定いたしました.授賞式は,Japan ACM SIGCHI Chapter主催のInternational Symposium on Human-Computer Interaction 2023 (2022年2月18日開催)で執り行われました.
授賞理由:
土井氏は企業の研究者として,計算機での文書処理を中心とした幅広いヒューマンインタフェース技術の分野の研究に長く従事し,優れた先駆的研究成果を数多くあげられました.それらの中には,ワープロや道案内サービスなど,世界中の多くの人に使われる製品やサービスの中で広く利用されている成果も多く,この分野の技術の振興と発展に大きく貢献されてきました.土井氏はまた,人と情報技術の関わりに関する研究分野における女性研究者の先駆けの一人として活躍され,後に続く多くの女性が活躍する道を拓いてこられました.
最近では,これまでの豊富なご経験に基づいて,ネットワークロボットやそれらと人との関りに関する研究分野を先導され,新しい分野の世界的な発展にも貢献されてきました.さらに,電子情報通信学会や情報処理学会,電気学会,映像情報メディア学会,ヒューマンインタフェース学会など,多くの関連学会の理事や会長,そして日本学術会議会員をはじめとする政府関連の各種委員,情報通信研究機構や複数の大学の理事・監事など,重要な役職を数多く歴任され,本分野の学術振興にも大きく貢献してこられました.
このように,人と情報技術の関わりに関する学術分野の発展に資する土井氏の貢献は多大であり,功績賞にふさわしいと認められました.
授賞理由:
加藤淳氏は、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)分野において、プログラミングや動画制作などの創造的な活動を支援する創造性支援研究に取り組み、多くの国際的受賞に繋がる成果で高い評価を得ただけでなく、プログラミング言語やCG、マルチメディアなどの関連分野でもインタラクションの重要性を示す研究で学術的に貢献してきました。「プログラミング体験(PX)」と名付けた独自分野を切り拓き、国際ワークショップLIVE 2017の基調講演を務めるなど研究の潮流をリードしています。
HCI分野の重要国際会議運営に活発に貢献し、CHIでAssociate Chairを4回、CHI 2021でSRC Chair、UISTでプログラム委員を4回、UIST 2016でSV Chair、SIGGRAPH Asia 2021でReal-Time Live! Chairを務めました。PX分野の新興国際ワークショップも積極的に運営し、LIVE 2022ではプログラム委員長を務めました。また、CHI勉強会に長年携わって支援システムを開発するなど幅広く貢献しています。
さらに類稀なプログラミングとデザインの能力で学術成果を実用的な複数のサービスとして実現し、アニメ制作会社で研究開発部門を立ち上げるなど産業界にも貢献してきました。
以上の加藤氏の貢献は顕著で、優秀若手研究者賞にふさわしいと認められました。今後も分野・産学の垣根を超える幅広い学術的・社会的貢献、国際研究コミュニティを先導する貢献を発展させ、研究者の新たなロールモデルとしてご活躍されることを期待しています。